日本各地には多くのお城が存在していますが、私たちが目にする天守の多くは、明治以降に再建されたものです。
そんな中、江戸時代以前から現代まで木造で残っている貴重な天守が、わずかに存在します。
それが「現存12天守」と呼ばれる12のお城です。
🔹現存天守とは?
「現存天守(げんそんてんしゅ)」とは、江戸時代以前に建てられ、火災や戦争などの災害、廃城令などを乗り越え、現在まで木造のまま保存されている天守のことを指します。
ただし、「現存」といっても、まったく手が加えられていないわけではありません。修復や補修を経ながら、創建当時の姿をできる限り保ち続けてきた建築物です。
🔸どのようなタイプの現存天守があるのか?
現存天守にはいくつかの保存の経緯があります:
- 建築当時の姿をほぼそのまま保っているもの
例:姫路城・彦根城など - 江戸時代の再建・改築後の姿がそのまま残っているもの
例:松本城・犬山城・高知城・松江城など - 一部の建物を失ったが、主な天守は残っているもの
例:宇和島城 - 天守以外の建物が失われ、天守だけが残ったもの
例:備中松山城・松山城・弘前城・丸亀城など - 一度倒壊したが、古い部材を使って再建されたもの
例:丸岡城
🏯現存天守が少ない理由とは?
かつて日本には多くの天守が存在していましたが、その多くが歴史の中で姿を消しました。その理由として:
- 1615年:一国一城令
江戸幕府が全国の大名に対し、各国一つの城しか持つことを認めないとする法令を出し、多くの城が破却されました。 - 武家諸法度による築城・改築の制限
- 火災や地震などの災害
- 明治維新後の廃城令(1873年)
多くの城が不要とされ、取り壊されました。 - 第二次世界大戦中の空襲
1945年には、名古屋城・和歌山城・岡山城・広島城・福山城など、歴史的に貴重な天守が空襲で焼失しています。
さらに、1949年には松前城(北海道)が失火で焼失。こうして、かつては20城存在していた現存天守が、現在では12城のみとなってしまったのです。
🏆現存12天守の保存状況と文化財指定
現存12天守はすべてが文化財保護法に基づく「重要文化財」に指定されています。
さらにその中でも、建築的・歴史的価値が特に高い5城は、「国宝」に指定されています。
🇯🇵国宝五城(こくほうごじょう)
- 姫路城(兵庫県)
- 松本城(長野県)
- 犬山城(愛知県)
- 彦根城(滋賀県)
- 松江城(島根県)※2015年に国宝指定
これら5つの城は、「国宝五城」という呼び名で観光や文化財の面でも広く知られています。
一方、それ以外の7城は「重文七城(じゅうぶんしちじょう)」と呼ばれることもあります。
🏯 現存12天守一覧とアクセスガイド
城名 | 都道府県 | 国宝 | アクセス概要 |
---|---|---|---|
弘前城 | 青森県 | × | 弘前駅からバスで約15分 |
松本城 | 長野県 | ◎ | 松本駅から徒歩15分 |
丸岡城 | 福井県 | × | 丸岡駅からバスで約10分 |
犬山城 | 愛知県 | ◎ | 犬山駅から徒歩15分 |
彦根城 | 滋賀県 | ◎ | 彦根駅から徒歩15分 |
姫路城 | 兵庫県 | ◎ | 姫路駅から徒歩10分 |
備中松山城 | 岡山県 | × | 備中高梁駅から車+徒歩で約30分 |
松江城 | 島根県 | ◎ | 松江駅からバスで約10分 |
宇和島城 | 愛媛県 | × | 宇和島駅から徒歩15分 |
丸亀城 | 香川県 | × | 丸亀駅から徒歩15分 |
高知城 | 高知県 | × | 高知駅から徒歩20分 |
松山城 | 愛媛県 | × | 松山市駅からロープウェイで山頂へ |
◎=国宝指定天守 ×=重要文化財
🧭これから城巡りをするなら…
現存12天守は、それぞれ地域のシンボルであり、築城された時代や目的、構造も異なります。
現存天守を巡る旅は、日本の歴史や建築技術を体感できる最高のフィールドワークになります。
今後、私が実際に訪れたお城についても、1つずつ詳しく紹介していこうと思います。
皆さんもぜひ、「現存天守」のある城へ足を運んで、その歴史の息吹を感じてみてください。
※現存12天守の基本情報はWikipedia「現存天守」 ページを参考にしています(CC BY-SA 3.0)。

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